面接での無難な受け答え例


前提

 形式上は企業に呼ばれて面接に行きますが、あなたは決して客人ではありません。むしろ企業側があなたのお客様であって、面接という商談(交渉)が成功すればパートナーになれる、そういう前提で受け答えを想定してください。


「まだまだ暑いですねえ」・「足元の悪い中お越しいただきありがとうございます」

 気候の話は、世間話でお互いの声慣らしと第一印象の確認(アイスブレイク)を意図しています。決して否定することなく、社交辞令で同意や共感してください。

例:「外は暑いですね、この部屋は快適です。」・「こちらこそ面接の機会をいただきありがとうございます。」


「今日はどのようにいらっしゃいましたか?」

 交通経路の話は、誰もが絶対に答えられる質問で緊張を解いてもらう意図があります。特に若い応募者や緊張が見て取れる応募者に対して質問します。深く考える必要はなく、素直に、簡潔に伝えてください。

例:「自宅の最寄り駅の○○駅から○○線で○○駅まで来て、そこから徒歩で参りました。」


「簡単に自己紹介をお願いします。」

 自己紹介は、履歴書と口頭の整合性の確認や、応募職種と経歴の関係を確認する意図があります。簡潔に時系列(古い順でも新しい順でも可)に話してください。過去の話だけでなく、現在の状況も伝えてください。古い順で話す場合は、最終学歴の卒業から始めるとスムーズです。前職の不満は絶対に口にしてはいけません。

例:「普通科の高校を卒業後に、○○業の○○職を○年、部署異動して○○職を○年やりました。その後転職して○○業の○○職を○年務めました。○○業に興味を持ち、現在は職業訓練校で○○をメインに学んでいます。」


「履歴書の特技欄に○○と書かれていますが、どれくらいやられているのでしょうか。」

 資格や特技の確認は、それらが募集職種で活かせるか確認する意図があります。趣味も同様で、決してプライベートでの娯楽の話をしたいわけではありません(ただし、若い応募者の場合は、仕事のストレス発散手段を持っているか確認するために好きな娯楽を聞く場合があります)。その分野の専門家でなくてもわかる表現で、継続年数やレベルを答えてください。応募職種との関連性も可能であればこじつけます。事務スキル(特にワード・エクセル)が売りの場合は具体的に何ができて何ができないか答えてください。あまりにも自信が無さそうだと頼りないし、高慢であっても印象が悪いため、事実を淡々と話してください。

例:「○○は○年くらいやっておりまして、前職では上司から○○と評価されていました。」・「○○は趣味で○年ほど続けていますが、仕事でも○○に役立っています。」・「ワードでは社内向け報告書であれば書式テンプレートを自分で作れますが、営業用のかっこいいデザイン作成は自信がありません。」・「エクセルへのデータ入力の速度には1時間に○○文字以上の自信があります。計算式や簡単な関数の利用には抵抗はありませんが、複雑な関数はあまり利用経験がありません。」


「我が社の○○職に応募しようと思ったきっかけを教えて下さい。」

 志望動機の確認は、やる気と継続性を確認する意図があります。自分の都合だけでなく、相手企業にとってのメリットも伝えてください。応募職種のことをどれだけイメージできているかを伝えてください。同業他社ではなくその会社を選んだ理由を伝えてください(校求人の場合は自分から言わなくてもよいが、考えておいてください)。

例:「前職で○○職には仕事を発注をする側として関わっており、その業務に立ち会っているうちにおもしろそう、自分でやりたいと思うようになりました。そのため、○○職を希望しています。発注側の心理を知っていることは御社でもお役に立てるのではないかと思っています。」・「御社は○○地域に特化していることが他社とは違い、私も慣れ親しんだこの地域に貢献したいと思っています。」


「何歳くらいまでうちで働きたいと思っていますか。」・「○年後にはどういう仕事をしたいと思っていますか。」

 将来の想定の話は、継続性を確認する意図や、会社の想定しているキャリアプランとの整合性を確認する意図があります。素直に答えてください。プライベートやライフプランについては話しすぎないようにしてください。

例:「定年まで働きたいと思っています。5年後には後輩数人をまとめて指導できる立場になることを目指します。」・「10年後には独立して、御社と取引を続けたいと思っています。そのために○年後には技能だけでなく経理などの知識も身につけておきたいと思っています。」


「現場で先輩や上司が危険な作業のやり方をしているところを目撃した場合、あなたはどうしますか。」

 コミュニケーションの取り方に関する質問は、コミュ力や行動力を確認しする意図があります。特に、他の質問への受け答えでコミュニケーション能力や行動力に疑問がある場合に聞く、ちょっと意地悪な質問です。期待する回答でない場合は不採用にしようという最終確認になります。前向きかつ能動的な回答をしてください。ただし自身の能力を超える行動は述べないほうがよいでしょう。いかなる理由であっても、行動しない・問題を先送りにする回答は悪印象です。

例:「すぐに『危ないじゃないですか』と止めに入ります。」・「その日のうちに当人に『訓練校ではこういうやりかたは危ないと習ったのですが、現場では普通なのでしょうか?』と遠回しに聞いてみます。」