電気の世界

【電気を学ぶということは、世界を学ぶということ】

 まず、あなた自身について考えてみましょう。この文字を読めているなら、あなたの網膜には光が当たっています。光は電磁波ですから電気です。網膜に入った光は視細胞で電位に変換されて、信号が脳まで届きます。視覚だけでなく、五感すべてが電気信号を介して中枢神経と繋がっています。文を目で追ったり、指先を動かすのに必要な筋肉は電気の力で収縮しています。意識的な運動だけでなく、心臓や腸の動きもすべて電気駆動です。さらに、体温があるということは体から赤外線が放射されていますので、これもまた電磁波=電気です。

 次に、身の回りの物に目を向けてみましょう。最も身近な商用エネルギーは電気です。照明もエアコンも電車もスマホもイヤホンも、あらゆるものが電気エネルギーで動いています。スマホはエネルギー源が電気なだけでなく、写真などのデータも電気を使って保存していますし、無線通信(5G, Wi-Fi, Bluetooth, NFC など)のための電波もまた電磁波=電気です。

 最後に、もっと極端なことを言えば、物体を形づくる分子間力は静電力という電気エネルギーですから、電気がなければ万物は粉々に砕け散ってしまい、当然ヒトも存在しないのです。